黒は色を暗くするときに便利な色。
それ以上に絵のムードを左右する色でもあります。
それ以上に絵のムードを左右する色でもあります。
ここでは「黒」基本知識と
色鉛筆で動物を描く時のコツをお話しします。
【目次】
・黒の働き
・黒の種類

【黒の働き】
黒の働きは?と聞かれたら
まず思いつくのは
”色を暗くするため”でしょうか。
色彩用語では「彩度を下げる」
と言います。
黒いものはもちろん
多くの方は”影”や”夜”を
イメージするでしょう。
もう一つ大切なことがあります。
下図は黄色に10%ずつ黒を混ぜたときの
色の変化です。
これを彩度を下げると言います。

50%~80%は
何かを連想させる色に見えませんか?
ウグイス色とか
オリーブグリーンとか。
黒は
単純に暗くするというだけでなく
混合加減で微妙な中間色を作る
という働きがあります。
【黒の種類】
純黒・漆黒という言葉があります。
”全く黒い”という意味だそうですが
絵画の世界では
”自然界にK100%の黒は存在しない”
と考えます。
K100%とは印刷に使われる黒のこと。
墨とも呼ばれる黒で人工的な色です。
この画像はどれも黒です。
モニターでは判りづらいですが
左上 青味の黒
右上 赤味の黒
左下 K100の黒
右下 黄味の黒 です。
見比べれば少しずつ違うことが分かりますが
単体ごとなら誰でも黒と判断します。
絵の具では
これらを溶液で薄めるほど違いが分かりますし、書道や水墨画で使われる墨には「青墨」と「黒墨」があります。
やはり水で薄めると青っぽい、赤っぽいという違いが現れ、絵によって使い分けられます。
”白色は200色ある”と言われる
ほどではありませんが
黒もさまざまです。
単体では黒に見えても
厳密には”隠し色”が混ざっていて
自然な黒とはこうした色を指します。
※ 純黒についての議論はさまざまなので
ここでその言及は避けたいと思います。
【黒の使い方】
察しの良い方は
前述まででお気づきかもしれません。
結論は
黒っぽいものを黒だけで描かない。
影=黒ではない。
ということです。
黒髪
瞳の黒
熊毛の黒
夜の黒
自然物を描く時は
少し他の色を混ぜた黒にすると
よりリアルで、
より奥行きを表現できます。
これを
”黒に深みを出す”と言います。
また、陰影に黒を多用した場合
写生のリアリティーを通り越して
オカルト的・心象的というムードになります。
もちろんそれもあり!
黒は使用する量や使い方によって
絵全体のムードを
大きく変えると思っておいてください。
【色鉛筆での黒】
さて、色鉛筆は絵の具のように混ぜることができません。
どうするか?
色を重ねて混色または調色します。
色鉛筆画が広まってきた近年、
これをレイヤードと言います。
色鉛筆の良さの一つは、
色が混ざらないから
キレイな黒が出せる
ということです。
黒い動物や黒毛を描く場合、
他に何色の毛が混ざっているか
肌の色は何色かで
重ねる色を決めると
自然なリアリティーを出せます。
真っ黒でも光があたって透けると
何かの色が見えます。
肌の色は鼻と肌の境目や
耳の中・目の周りで分かります。
また、ベルベットのように艶があって
滑らかな手触りの黒毛の場合、
ブルーや紫、そのあいだの色を使うと良いと思います。
温かそうであればオレンジ系。
寒そう、カッコイイならブルー系。
そう言った自分の中のイメージを
黒と組み合わせるのもお勧めです。
さて、このミニピンシャー君の場合
重量感のあるリアリティー重視で
影にグレーを使いましたが
絵の中のピンクの彩度を下げた
暗いピンクグラデーションで影、
さらに橙系を重ねれば
優しさ・温かさが加わって
全く違う印象になります。
そしてピンシャー君ですが
黒+臙脂+ダークネイビーです。
明るい部分は黒味を抑えぎみに、
暗い部分はダークネイビーをしっかり重ねたグラデーションで
全体を構成しています。
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アトリエコタン|かいせ由子
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