色鉛筆画の描き方|動物の全身を描く

ベルジアン・シェパード・ドッグ・タービュレン

全身を描くときは、
バランスが崩れてこないように気をつけたいところです。
色鉛筆は細かい作業は得意ですが、
絵の具と違って一度に広い面を塗ることができません。
とくに被毛に覆われた動物は、輪郭が1本1本の毛先になりますから
細かさに気を取られて全体のバランスを崩しやすくなります。
今回はバランスの調整方法を取り上げてみます。

「全体の輪郭を描く」
【コツ1】
ここでの輪郭とは「毛先が終わる位置」の印です。
漫画のようにくっきりと描くのではなく、
形を見失わない程度にします。
【コツ2】
ビギナーさんのついつい!
部分的に描き過ぎないよう注意してください。
気になる部分だけを描き過ぎてしまいがちです。
全体を同じ量で描いてゆきましょう。
部分だけを描きこんでしまうとズレが出たときの修復が大変!
描き直しとなったときには、気持ちが凹んでしまいます。
輪郭が取れたら、下図のように軽く色分けをします。

「描き込み」
教室でも「先生、目は後ですよね」と聞かれます。
”当選だるま”や、仏像の開眼のイメージがあるのでしょうか?^^)
これは画材や作者によって違うと思います。
【コツ3】
色鉛筆で描くとき、目は早い段階でと教えています。
目の位置・大きさを確定できたら、
大きさを調整できる余白を残して軽く描きこみます。
まわりを描きこんでから目を入れようとすると
 眼球が小さくなったり一体感が欠けたりするからです。
【コツ4】
一番色が濃い部分だけしっかり描こう!と、
教室では教えていますが、個人の「技」でもあります。
一番濃く・しっかり色を付けたいところが、全体の濃さの基準になる。
他の部分がどれほど濃く見えても、ここ!
と決めた部分より濃く(暗く)してはいけないという基準です。
ここ!をどこにするかで、絵に個性が生まれます。
動物を描くとき、私は「目」を基準にしています。
↓目の描き方を紹介しています↓
http://portorait.blogspot.com/2015/04/blog-post.html
毛の描き方は
http://portorait.blogspot.com/2016/12/blog-post.html
を見てみてください。

「全体の調整」
【コツ5】
6~7割ほど描けたあたりから大切なことは「絵で見てどうか」です。
この絵も依頼主さまの写真を見て描いていて
骨格・バランスは写真通りですが引け越しに見えます。
背景を描かない分だけ、見た目の安定感・重量感が写真より少ないです。
下図では、それを補うために加筆分の輪郭を取りました。

絵画は、絵とモチーフを並べて見ることは絶対あり得ませんが
こうして依頼主さまの画像を預かって描くときは
写真と絵を見比べることができます。
写真から感じられる重量感と同じ感覚を感じられる絵にしたいですね。

【コツ6】
「消しゴム」も重要な画材の一つ。
絵を描くときは「減らす・光らせるための道具」と考えて。
お尻あたりに自然な輝き・むっちり感(丸み)をつくるために
色を落とす(白を加筆)しました。
下図の左が8~9割ほど描き上がった状態で、右が完成です。
左右を見比べると、左の後足が右より短く見えます。
長さ・太さは同じのまま、関節の位置と影を調整したものが右です。
お尻を加筆して関節の位置を調整したことで
へっぴり腰がなくなってしっかり立ちました。

「仕上げ」
【引き締めのコツ】
写実ではモチーフの映り影の濃さも重要です。
影が薄ければ軽い印象、濃ければ重い印象になり
絵の印象は、それがどのくらいかで決まります。
【最後に】
最後に耳・目・鼻・舌の小さな部分をしっかり描き起こします。
コツ4から6までを繰り返しながら完成。
所要時間は、およそ15時間でした。


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